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2019/11/22 14:17

太宰府館

太宰府館

令和元年祈念太宰府文芸祭 万葉ノ彩

- 太宰府 -

 

2019年11月22日(金) -  24日(日)

 

 青く透き通った秋晴れの空の下、朱や橙色に紅葉した樹々に染まる霜月の太宰府。約30年振りに改元された新元号由来のこの地において、「令和元年記念 太宰府文芸祭 万葉ノ彩」が執り行われました。

 新元号「令和」は「大化」から数えて248番目にあたり、およそ200年ぶりの生前退位による改元であること、初の日本古典からの典拠となったことでも話題になりました。この言葉は奈良時代の天平2(730)年、ときの太宰府長官、大伴旅人が高官らを自邸に招いて開いた「梅花の宴」の序文からとられています。

 大伴旅人は飛鳥時代から奈良時代にかけて活躍した貴族、武将、歌人であり太政官における臣下最高位の大納言まで昇進、728年には太宰府長官として赴任し、歌人である山上憶良らとも交流を深めました。万葉集編纂に関わり、「三十六歌仙」や「小倉百人一首」にも載っている和歌の名手、大伴家持は旅人の息子であり、旅人の歌も78首が万葉集に選出されましたが、その多くが太宰府任官後に詠まれたものになっています。「梅花の宴」で大伴旅人が詠んだ歌を一首、紹介します。

  我が園に梅の花散るひさかた  の天より雪の流れ来るかも

 

 宴が催されたのは「正月13日」。現在の暦で2月初旬にあたります。満ち足りた正月の祝宴なのに季節外れの「落梅」が詠まれ、はかなさが漂っていてある種の不思議な気持ちになります。旅人は山上憶良とともに「筑紫花壇」という集まりを作り、様々な歌を万葉集に残しました。

太宰府といえば太宰府天満宮に祀られる天神様が有名ですが、この地に降り立つと菅原道真が生まれるより前、1200年以上前の日本人が、身分の上下に関わらずいかに四季を愛し、友人や家族を思い、日々を過ごしたのかを感じることができました。

 本展の開催時期はちょうど紅葉の時期や、太宰府天満宮での秋の菊花展が重なり、「令和」の由来となった地を訪れたかったという観光客や参拝客で参道は溢れかえり、軒を連ねる名物「梅ヶ枝餅」の店先には連日行列ができ、例年以上のにぎわいをみせておりました。会場にもたくさんの観光客や地元結社の方々、また、七五三で訪れた袴姿のお子さん連れのご家族にも多くご来場頂き、普段目にすることのない有田焼と文芸の融合を興味深く、丁寧にご覧になっているのが印象的でした。訪れた方々には会場で本展の感想文を書いて頂き、「新元号生まれの地でこんな素敵な詩歌に出会い、感動した(50代女性)」、「修学旅行で初めて訪れた太宰府で教科書では見られないような作品に出会い、日本文芸に興味が湧いた。(10代男子)」、「みなそれぞれ辿ってきた想い、歴史の深さが表れていて心が洗われた(40代男性)」等のお言葉を頂き、この展覧会を見て初めて日本文化に興味をもったという若年層も多く見受けられました。

 

 今回は皆様の作品を、日本を代表する磁器である有田焼にそれぞれ写し、紅葉をイメージした暖色系の布和紙を皿立ての下に配し一枚一枚立てかけ、会場の中央には大鉢に季節の花を生け、柔らかで和かな空間を作り上げました。来場者や地元結社の方などからは「このような形で日本の詩歌作品を目にしたことはない、新鮮で驚きだ。(40代会社員)」、「全国区の作品のレベルの高さを知れて刺激になった(70代女性)」というような様々なお声を頂き、実に充実した文芸展になったことと思います。 私たち自身や家族、友人が新たに生きる時代、令和。「令」という漢字には「美しい」、「めでたい」といった意味が込められており、そのため「令和」という元号を英訳すると「ビューティフルハーモニー」となります。今回の「令和元年記念 太宰府文芸祭 万葉ノ彩」も皆様方の想いのこもったコトダマの数々がまさに美しいハーモニーを奏で、日本を代表する伝統工芸の有田焼と調和し、訪れた多くの方の心に深く刻まれたことでしょう。

 結びに、一度しかない新元号の元年にその所縁の地でこのような素晴らしい展覧会が開催できましたのは、皆様方のお力添えと辿ってこられた人生のご経験が集約した作品の賜物であり、厚く御礼申し上げます。

 今後の皆様方のご健康を願うとともに、益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。