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2023-12-20 00:00:00
京都 / 西本願寺
親鸞聖人生誕850年記念 「安楽の祈り」PHOTO GALLERY
https://seiransha.jp/photo/album/1218135
冬至も間近にせまる師走の短日。それまでの暖冬の気温が一気に下がり、冬らしく白息混じる古都・京都において、「親鸞聖人生誕 850年記念芸術祭 安楽の祈り」を開催させて頂きました。
西本願寺は、京都東山に創建された親鸞聖人の廟堂を起源とする浄土真宗本願寺派の総本山です。浄土真宗は開祖・親鸞聖人によって開かれ、中興の祖・第8代蓮如上人の時代に、急速に近江をはじめとした近畿地方や東海、北陸にひろまり、隆盛をきわめました。各地に寺基を移転した後 、1591( 天正15年 )に豊臣秀吉より京都七条堀川の地を寄進され、地震や火災を経て、ほぼ今日に近い姿となっています。阿弥陀堂や御影堂、飛雲閣など、数々の国宝や文化財を擁し、能舞台として日本最古の北能舞台、唐門、書院、黒書院等の建造物は、華麗な桃山文化の粋を今に伝えています。特別名勝の大書院庭 園( 虎渓之庭)は枯山水様式を今に伝 え、1994 年には、「古都京都の文化財」としてユネスコの世界文化遺産にも登録され、修学旅行やツアーの定番コースとして多くの方が訪れる名刹です。
浄土真宗は織田信長の石山本願寺攻めを機に、1602 年に東西に分裂しましたが、江戸時代後半になると両派の対立は和らぎ、現在はすぐ隣に建つ東本願寺とも交流があります。浄土真宗の真宗十派で構成される「真宗教団連合」が結成されており、真宗各派の協調・連携を図るという目的で、両派間でも盛んに交流が行われているようです。
浄土真宗の教えの特徴は、厳しい修行を成した者だけが成仏できる「自力念仏」ではなく、阿弥陀如来を信じ、感謝の心をこめて「南無阿弥陀仏」の念仏を唱えれば、誰もが救われ、極楽往生できるという「他力念仏」という考え方があることです。阿弥陀如来は「苦しみに満ちたこの世では生きるだけでも精一杯、皆のことは私が必ず救ってあげる」という願いを「南無阿弥陀仏」の念仏にこめて示してくださっています。西本願寺に訪れると、私たちの世界を超えた大きな働きが私たちを見守ってくれ、限りある人生を見つめ直すきっかけや自分自身のことを改めて発見するご縁を頂けるような気がしました。
- 名刹に集う和の輝き -
本展の会場となったのは西本願寺敷地内の聞法会館。仏前結婚式や法話会、講演会なども行われる宿坊です。温暖化の影響で年々ずれ込む紅葉シーズンは、今年の猛暑の影響からか、12月でも銀杏黄葉の葉を残し、冬 季の澄んだ空気に包まれた寺院には、中高生の修学旅行や親鸞聖人生誕 850 年の記念年にお参りしようという参拝客などがたくさん訪れていました。京都の街自体も、ようやくコロナ禍前のにぎわいを取り戻し、世界各地からの外国人観光客や、全国からの旅行者が観光スポットを訪れていました。
展覧会場内には、京都の伝統工芸品である西陣織をアレンジし 、硝子の飾り皿という新たな姿に昇華したものに文芸作品をしたためた器や 、京友禅生地や書道文字で彩った掛軸作品、作品の世界観に合わせたデザイン画で仕立てた詩のアートパネル等 、親鸞聖人の御仏壇の前で日本の芸術家たちの粋を集めた作品達が並びました。
開催期間中は、小さな子供さんから文芸を嗜んでいるというご年配の方や、ご家族連れ、仏教関係者等、非常に多くの方にご来場頂くことができました。作品を鑑賞頂いた方からは、「どれも読みやすい内容で共感できるものが多かった」、「久しぶりの京都旅行の良い思い出になりました」、「仏の教えにも通ずるような作品も拝見できた」等、嬉しいお声を多数頂き、本展覧会の開催意義が十分に果たせた手応えを感じることができました。
浄土真宗のみ教えの中には、「生かされていることに感謝して むさぼり 怒りに流されず喜びも悲しみも分かち合い日々に精一杯つとめる」という言葉があります。様々な世界事情にみまわれた 2023年、新たな年となっても思いもよらない難
事が私たちを襲います。そんな状況の中でも、800 年前の親鸞聖人の言葉に学び、今生きている奇跡に感謝し、助け合い の心を持って乗り越えていかなければならないと感じました。
言葉を通じての繋がりが微力ながらその一助になれば幸いです。最後になりましたが、今回の「親鸞聖人生誕 850年記念 安楽の祈り」の成功はご参加頂いた皆様のお力添えあってのものということはいうまでもございません。心から感謝致しますと共に皆様のご健康と益々のご発展を心よりお祈りしております。誠にありがとうございました。